百人一首の舞台を巡る旅~あをによし奈良編~

「奈良の人は早起きだ」

先日、ラジオを聴いていると辛坊治朗氏がこんなことを言っていました。理由を聴いてみると「奈良で鹿は神の使者とされており、昔は殺生すると死罪だった。だから奈良の人は、毎朝早起きして真っ先に玄関の前を確かめ、もし鹿が死んでいたらこっそり隣の家の前に移動させていたんです」と説明していました。

 すぐアナウンサーに「それ落語のネタですよ」と突っ込まれていましたが

どうやら鹿政談なんていう落語があるらしいですね。

 

鹿政談は創作ですが奈良には驚く様なホントの話がいくつかあります。

少し例をあげると 

 

・日本一広い村がある。

・県内で最も高い建築物が未だに730年創建興福寺五重塔

選挙ポスターを食べる奴がいる。

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奈良で堂々と公職選挙法違反が行われる! 選挙ポスターを破る瞬間を激写 | ゴゴ通信

などなど。

なんだか観光するだけでタイムスリップした気分になれそうです。

昔の姿を残しすぎて観光地なのに大きなホテルが建てられず『宿泊施設数全国ワースト2位』なんて不名誉な称号もあるくらいのんびりしている県、それが奈良。

 

今回は、そんな古都奈良の百人一首の舞台となった場所を写真で紹介していく、とても優雅で気品あふれるコーナーです。

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小倉百人一首のうち、奈良について詠まれた歌は九首から十二首程あるそうです。*1

県内の全首をコンプリートするとなると非常に広範囲となり、とても回れないので一部の歌のみになりますが、季節を越えて写真を撮ってきました。

昔の歌と現在の姿を見比べて違いを楽しんでいってください。

 

 

【七番】

天の原ふりさけ見れば春日なる

   三笠の山に出でし月かも

歌人阿倍仲麻呂 出典:古今・羇旅

 歌意:月見たら故郷思い出してもうた(´;ω;`)

 

この歌は百人一首中唯一、外国(唐)で詠まれた歌だそうですが、ここに出てくる三笠の山は奈良県奈良市にある春日山と言われています。

春日山は現在春日の原始林として遊歩道が整備されており、そこを登ると隣の若草山山頂に到着し見事な絶景を見ることが出来ます。

 

↓左の森が春日山の原始林、 撮影場所は若草山山頂付近。

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誰かが捨てた空き缶の不法投棄に激おこ

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若草山からは奈良市を一望することが出来ます。※空気が澄んでいれば……

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奈良で鹿と戯れたことのある人は、奈良の鹿は大人しいとか人に慣れてるという印象を持っているかもしれませんが、大人しいのは奈良公園周辺だけ。

若草山春日山の鹿は、急斜面を猛ダッシュで移動するガチ系の鹿です。

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下界のノリで鹿せんべい持っていったら集団で襲われるので気を付けてください。

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ちなみにこの若草山、毎年炎上しています。

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【十七番】

 ちはやぶる神代も聞かず竜田川

   からくれなゐに水くくるとは

歌人在原業平朝臣 出典:古今・秋下

歌意:こんな紅い川初めて見たわ(((o(*゚▽゚*)o)))

 

見だしたら止まらない泣けるアニメTOP5に入る「ちはやふる」のタイトルの元になった歌です。場所は奈良県生駒郡にある法隆寺の近く。

竜田川(龍田川)に紅葉が落ちて水面が紅く染まる屏風絵を見て詠まれた歌だそうですが、現代の竜田川は果たして紅く染まっているのでしょうか。

答えはこちら。

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すっかり整備されて、こんくりゐとに水くくってます。

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読み辛いですが解読しました。

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龍田川もみじの由来

龍田川の紅葉は、第十代崇神天皇が龍田明神に行幸され、五穀豊穣を祈られ、上流より流れてきた八葉の楓を龍田の神さまに献上されました。

のち文武天皇行幸のとき、紅葉を見て大変感動されたといいます。以来、龍田川は紅葉の名所として、天下に知られ紅葉と言えば龍田川とまで連想されるようになりました。

持統・文武・平城の各天皇をはじめ、平安時代歌人によって紅葉を詠みもてはやされ昔の和歌集に数多く詠まれています。

江戸時代にはみんなで養殖・保護頑張ったうんぬん…以下略。

 

 

 行った時期が悪かったのと、撮影場所が適当だったので綺麗な紅葉は撮れませんでしたが、代わりに、モモくれなゐに水くくってる竜田川を撮ってきたので見てください。

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お花見をしている人が沢山いました。

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赤い橋がいい味出してる。

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こちらは数キロ離れた竜田川上流。

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ここら辺は住宅地なので日本中にありそうな普通の川って感じがしますけど

桜はとても綺麗でした。

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 ピンクれなゐの竜田川、またあとの歌でも登場します。

 

 

【六十一番】

いにしへの奈良の都の八重桜

   けふ九重ににおひぬるかな

歌人伊勢大輔 出典:詞花・春

歌意:桜綺麗やし上手いこと言ったろ(◔‿◔。)

 

奈良の都と言ったら2010年、遷都1300年で賑わった奈良市平城京 。

奈良の中心に今も威風堂々と都が…埋まっております。

ちなみに、写真奥に見える焼かれた山が若草山でその右が春日山です。

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 この周辺、地上には何もありませんが、掘ったら何か出てきます。

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一部の遺跡は土台部分も保護されています。

現在は国立公園として管理されていて、お花見を楽しんだり凧揚げしたり、トランペット吹いたり…皆自由に時間を過ごしています。

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咲いていたのは、ほぼソメイヨシノで、八重桜は時期的に見られませんでした。

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大都会のオアシスって感じがしますね!ええ!

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主要な建物は近年、復元されていて中に入ることも出来ます。

こちらは時の天皇が最も重要な儀式を執り行っていた大極殿

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大極殿内部には天皇の玉座となる高御座(たかみくら)も置かれています。

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すぐ横には今上陛下が平成22年に行幸されたときに詠まれた御製もあります。

研究を重ねかさねて復元せし

   大極殿いま目の前に立つ

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そんな大極殿高御座の位置から見える風景がこちら。

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ここに立つと、私がかつて左大臣として名を馳せていた頃を思い出します。

 

 

【六十九番】

あらし吹く三室の山のもみぢ葉は

   竜田の川の錦なりけり

歌人能因法師 出典:後拾遺・秋下

歌意:嵐で川に散った紅葉めっちゃ綺麗やんヽ(^。^)ノ

 

 紅葉関連で百人一首に2回も食いこんでくる竜田川

今回は三室の山さんとバーターでのご登場です。

場所は奈良県生駒郡斑鳩町。歌通り竜田川の川沿いに三室山があります。

奥にある小さな山が三室山です。

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近づくとこんな感じ。

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こっちが

こっちが

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この橋からの眺めがおそらく一番綺麗に山を望めます。

少し残念なのは、電柱がとても主張してくるので写真が撮りづらい。

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竜田川だけあって、橋の欄干には紅葉。

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こんな綺麗な桜見ちゃったら、そら小学生も岩に登りますよ。

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山の麓までいくと、みむろ山の名前と歌碑。

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太一派か新派かどっち?って聴かれて、机くんって答えるような人いいよね。

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三室山は山頂まで舗装されていて、子供でも楽に登ることが出来ます。

再び季節比べ。

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↑こっちが秋で

↓こっちが春。

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山の中腹からの景色はこんな感じです。

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東屋あずまや)というやつでしょうか。

山頂に着くと団子とお茶が欲しくなる休憩場所がありました。

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小屋の隣にあった三室山と能因法師の解説

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この三室山を観に行った日、川べりでドローンを飛ばしてた人がいたんですよ。

で、もしかしたら撮ってた人がユーチューブにうpしてるかも!と思って

さっき検索したら、やっぱりうぴぃしてくれてました。

凄く綺麗なので見てみて下さい↓

www.youtube.com

端の方に私が映ってるか…も。

 

 

【七十五番】

契りおきしさせもが露を命にて

   あはれ今年の秋もいぬめり

歌人:藤原基俊 出典:千載・雑上

歌意:あいつ全然約束果たさんままやけど、秋すぎてまうで(「`。´)「

 

 この歌は奈良県奈良市興福寺のことについて詠まれた歌です。

興福寺で行われていた維摩会(ゆいまえ)の講師(こうじ)に息子を選んでくれと依頼したのに全然選んでくれへんやん!っていう嘆きの歌らしいです。

 

コネ入社うちの息子を頼んます

ゆーてるうちにまた秋やんけ

 

みたいな歌が千年後もカルタになって詠まれ続けるとか、本人が知ったら赤面しそうですね。

 

冒頭にも言いましたが、興福寺には県内で最も高い建築物があります。

国宝 興福寺五重塔(50.1m)

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県内最高の眺め!広大な庭付き!神の使い的なペット可!耐震性抜群!

五階建てタワーマンション(築1300年 600年前に改築)駅徒歩8分

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以上です。

百人一首で詠まれた場所の現在の空気、少しでも伝わったでしょうか。

ガラケーのせいか技量のせいか、撮る写真の大半が曇って見えるんですけど

昭和に撮られた写真じゃないですからね!

 

 

最後におまけで、奈良の愛する可愛い動物たちをどうぞ。

 

出遅れた鹿

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【5番】

奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の

   声聞く時ぞ秋は悲しき

 

イケメンに恋する鹿(今回のベストショット!)

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見返り美鹿

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電話ボックス

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ただし金魚が使用中

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今回は奈良編でしたが、他の府県編をやるかは

ちはやふる3期があるかどうかにかかっています!

マッドハウスさんお願いします。

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 どうかこの通りシカ!