最強の日傘を求めて
彼は書の達人でもあったため、のちにこんな諺が誕生します。
「弘法筆を選ばず」
神髄を究めた人間ならば、使う道具の良し悪しなんて関係ない!という意味ですが、実際の弘法大師は、ダイソーで買ってきた筆で書をしたためていたわけではありません。
それぞれのシーンに合わせ。選びに選び抜いた至高の一本をちゃんと持っていたと言われています。
時は流れ
令和4年夏、観測史上初、6月に40度越えという異常な暑さを記録した日本列島。
その片隅で一匹のお魚が全身に汗をしたため、太陽の下で蒸し干しにされていました。
これまで炎天下で外を歩かないといけない時は、必ず建物の影(ボーナスゾーン)を探して歩くようにしていました。日向はシャシャっと高速で移動し、ビル影はゆっくり移動でHPを回復する作戦です。
が、今年の暑さはそんなもんじゃどうにもならない!
30分程度外を歩いただけで後頭部がその日寝るまでズキズキと痛みます。
このズキズキと戦いながら、私はある決意をしました。
日傘……買う……
こうして日傘選びのための勉強が始まったのです。
・日傘選びの3要素
日傘を買うときに、何を重要視するかは人それぞれ。
価格、性能、デザイン、重さ、畳みやすさ……色々あります。
価格やデザインも勿論大事、とはいえ頭が
日傘の性能は、基本的にどこのメーカーも3つの指標で表しています。
遮光 遮熱 遮蔽(UVカット)
この3つのうち遮光とUVカットは遮光率99%のように具体的な数値で性能を示すことが出来ます。
遮熱だけは、使用時の環境、その時々の状況によって数値がバラバラになるので
どこのメーカーも「遮熱効果あり」のような表現しかしていません。
遮光遮熱UVカット性能がきちんと備わっているということを最低条件に調べた結果、日傘ガチ勢ならこれだけは押さえておけ!みたいな日傘を3本見つけたので紹介します。
・モンベル サンブロックアンブレラ 税込4950円
外側のシルバーコーティングが日光を跳ね返し、内側の黒が地面からの照り返しを防ぐ日傘の理想形。
UVカット率は90%以上。
そして何より優れているのが本体の軽さ。
一般的な日傘が大体300~400グラムと言われている中、モンベルの日傘は登山での使用も想定されているだけあって200グラム。
お好み焼き1枚以下の重さしかありません。
ただし、あまりに人気の為、夏には日本中の店舗及びネットから在庫が消え購入できなくなります。
私が確認した限り
6月末時点の注文⇒8月下旬入荷(実際には納品が早まり8月上旬入荷)
7月上旬⇒今季完売からの生産再開
8月上旬注文⇒12月入荷
8月中旬現在、ネット販売は完売となり、注文不可になっています。
そしてアマゾンでは高額転売の餌食に。
流石に来年以降は夏本番前に増産すると思われますが、買われる方は余裕をもって冬か春にモンベル公式サイトから購入するのが吉です。
・サンバリア 100 約12000円~
グーグルさんによると、日傘の寿命は表面に施されたUVカットコーティングなどが摩耗し剥がれ落ちてしまうため、平均2~3年で買い替え時になるのだそうです。ほんとぉ?
そんななか、破れない限り性能が永続する日傘がサンバリア100
サンバリアは、1枚の生地にUVカットコーティングをしているのではなく、3層からなる生地そのもので遮光・UVカットをしているため、性能が劣化することがありません。
その遮光率は驚異の100%。完全遮光を謳っています。
こちらもモンベル同様、夏本番が始まるころにはサイト上の殆どが品切れになっている人気ブランドです。
化学繊維の世界的企業、東レ株式会社。
サマーシールドは日傘の名称ではなく、東レが開発した生地の名前になります。
基本性能はサンバリア同様、三層構造の特殊な生地で作られており、遮光率は99.99%(一級遮光)、UVカット率は99%、遮熱効果もあります。
サマーシールドを使用した日傘は、主にオーロラ社が製造しており、百貨店などで1万円台で売られているそうです。
ちなみに、東レの一級遮光(99.99%)とサンバリアの完全遮光(100%)
この二つの違いは日本洋傘振興協議会に加盟し、第三者の検査で遮光率が99.99%以上の傘を一級遮光、協議会に加盟しておらず、独自の検査で遮光率100%だった日傘が完全遮光を謳っているのだそうです。
協議会の基準では、地面や横からの光を完全に防ぐことは出来ないという考えの元、例え100%の遮光率であっても99.99%と表記しているのだそう。
以上、3つに絞って色々考えた結果
この中から選ばれたのは!!!
(ドロロロロロロロロロ ジャン!)
東急ハンズ hands+ 全天候型簡単開閉折りたたみ傘2 60cm 税込5830円
・選んだ理由
最初、モンベルのサンブロックアンブレラが評判が高く、口コミも多かったので、ネットで購入予約まで完了していました。
ただ、入荷待ちの間、ワクワクしながらユーチューブで日傘動画を見まくっていたら、上述したように「コーティングより多層生地ラミネート加工が最強」という結論に至ってしまい、予約を取り消して東急ハンズに直行というかたちになりました。
サンバリアに関しては価格が高いということと、商品に可愛くてひらひらしたデザインのものが多く、なんかこう…ルイズ・フランソワーズ!って感じだったので辞めました。
傘のサイズは、55cmと60cmの二種類から選べます。
カッパの親戚である私は、傘が下手なので60cm一択です。
決め手になった動画も貼っておきます
雨の染みこみにくさを表す耐水圧も、一般的な傘が耐水圧250mm~500mmなのに対し、この全天候型簡単開閉折りたたみ傘Ⅱは耐水圧25000mm以上とケタ違い。名前の長さもケタ違い!
・実際に日傘を使ってみた感想
日傘を買ってから、しばらく雨が続き、日傘をさすチャンスがありませんでした。
今年ホントに梅雨あけた?と立秋を過ぎた今でも疑念を抱いていることはさておき、7月某日ついに絶好の日傘日和に恵まれます。
最高気温36℃、曇りなし、紫外線MAX!命を刈り取る暑さ!
本来なら外出なんてせず、冷蔵庫のチルド室に引きこもっていたくなる気温ですが、今の私には日傘があります。非接触温度計を片手に日傘デビューです。
日傘をさして数秒、温度計を使うまでもなく全てを理解しました。
ポータブルシャドウじゃん!
傘の無い状態だと首の後ろがチリチリと痛み、全身から汗が噴き出るのに対し、まったくチリチリ感も汗だばーもありません。(個人の感想です)
インフィニットシャドウじゃん!
もう太陽の位置を見てビルの影が多い歩道を探したり、見渡す限りの日向に絶望しながら歩く必要はなくなりました。(個人の感想です)
使用中はこんな感じで直射日光を防いでくれます。
丁度、傘の向こう側に太陽があるのですが、一切光を通していないことがわかります。
温度を計測してみると
外気温 約32℃~40℃
アスファルト 55℃
日傘 55℃
日傘をさすと空間の温度も多少下がるかもと思ったのですが、そもそも日傘は移動しながらさしているので、秒単位で温度が目まぐるしく変わってしまい、正確な遮熱効果はやはり計測できません。
ただ、日傘をさしていなければ55℃の熱線が直接全身に降り注いでいたと考えると、そりゃ頭痛にもなるよねと……。
そんなメリットだらけの日傘ですが、デメリットもあります。
1.片手が塞がる
普段から日傘をさしている人は、もうなんとも思わないかもしれませんが、雨が降っているわけでもないのに、外にいる間ずっと片手で傘を持って歩くというのは、なかなか大変です。
リュックに固定するアイテムも売っていますが、日傘は雨と違って、かなり斜めの角度から入り込んで来たり、風向きによって傘の角度を微妙に調整する必要が出てくるので、上手く太陽光を防ごうと思うと中々難しいかもしれません。でも欲しい!
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2.畳むのが面倒
2段式折り畳み傘の宿命なんでしょうが、慣れるまでは高速で綺麗に畳むのが難しいです。適当にぐしゃぐしゃっとすると袋に入らないので丁寧に畳む必要があります。
数十メートルの距離であれば、畳む労力を考えてもう日傘をささないという選択肢になることも。
畳みにくさを上手く解決した形状記憶タイプの日傘もあります。
サマーシールド生地で、畳みやすくて、価格が安い日傘が出ていれば、飛びついていたでしょうが、そこまで都合の良い商品はまだ無さそうです。
結論 もう、戻れないよ
去年の夏、日傘代わりに透明のビニール傘をさして信号待ちをしていたお爺ちゃんを見たあの時、流石に意味ないだろ!と心の中で思っていました。
でも今ならわかります。お爺ちゃんは少なくとも傘をさしていたのに対し、私はノーガード戦法で全ての熱線を吸収していたのです。
どちらが体を気遣っているかは言うまでもありません。
これからも炎天下ではちゃんと日傘を使おうと思いました。