資格取得を目指して頑張るキミへ

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はじめに

 この記事は、資格取得を目指すと宣言し、現在勉強を頑張っているであろう友人、藤木茂君への応援と早期復帰を祈願して、作成されたものである。なお、本文は私が学生の頃に書いたレポートに加筆・修正したもので、一言でまとめるなら「資格大事!」というただそれだけのことを長々と小難しく書いたものであるということを最初にことわっておく。

 

 

1. 調査動機
 私たちが毎日生活を営む社会には、数多くの職業が存在する。その職業は医者や弁護士、設計士や販売員、芸術家や宗教家といったように、私たちのニーズに合わせて多様化している。こうした職業はある条件の下に大きく二つに分類することができる。資格を必要とするかしないかだ。一般的に資格を必要としない職業に関しては、なろうと思えば誰でもなることが可能だ。しかし医者や看護師、建築士といったように、資格がなければ就くことができない職業も存在する。そこで今回、職業資格の取得がその人自身にどのような影響を与えたのかについて調査した。

 

2. 職業資格の分類
 1で資格について触れたが、職業資格の分類は非常に多岐にわたるため一概に資格の有無だけで職業に就けるかどうかを決定することはできない。ここでまず、職業資格の分類について簡単に説明すると、職業資格を認定期間別に分類した場合、国家試験に合格することで取得できる「国家資格」、財団法人や社団法人、日本商工会議所文部科学省経済産業省の認定を受けて与えている「公的資格」、法律の制限の外で団体や機関が任意に与える資格である「民間資格」の三種類が存在している。

 

さらにこの中の「国家資格」をその効力によって分類すると、四種類にわけることができる。医者、弁護士、税理士などその資格を保有しているものでなければ一定の業務活動に従事することが出来ない「業務独占資格」、宅地建物取引士(旧宅地建物取引主任者)など、一定の事業場において、その資格を保有している者がいなければ業務を行うことができない資格「必置資格」、技能士や調理師など、その資格を持っていなければ一定の称号を名乗ることが出来ない「名称独占資格」、統計官など公務員のなかで、特定の業務につくために必要とされる「任用資格」がこの四つである。今回の調査では、この「国家資格」の分類中、業務独占資格を持つ方にインタビューを行った。

 

3. 調査対象者の詳細
 調査に協力して頂いた方の職業及び資格は美容師である。対象者は美容師の国家資格を23歳のときに取得した。彼女の年齢層に関して詳しく言及することは避けるが、私が中学生のときには既に今の店で働いていたこと・過去の会話等から察するに、おそらくXY代前半ではないかと思われる。

 

4. 調査内容
 資格取得が当人にどのような影響を与えたのか調査するため、いくつかの質問を行った。最初に、「資格をとる前は何をしていたか」という質問に対しては、高校卒業後ヘアメイクの専門学校に通っていたとの答えが返ってきた。この、ヘアメイクの専門学校というのはテレビや雑誌などで活躍するモデル・役者等のメイクを行ったり髪形のセットに気を配ったりする職業で、この専門学校は美容師になるための学校とは関係がない。したがって、卒業しても美容師の資格を得ることは出来ない。また、ヘアメイクという職業は資格を必要とせず、専門学校を卒業するだけで得られる資格はない。ゆえに、就職の際役に立つのは専門学校の卒業証明書だそうだ。

 

 では、対象者がどのような経緯で美容師の資格を取得したのかというと、専門学校卒業後ヘアメイクとしての仕事が見つからず、アルバイトをしているうちに美容師になろうと決意し、美容院で働きながら通信教育を受け資格を取得したのだという。もちろん、美容院で働くといっても美容師の資格はないため、見習いとして掃除や洗髪を中心にやっていたそうである。ここで、私は次の質問をした。「資格を取ることで役に立ったことは何か」をたずねると対象者は「やはり安定した職収入を得たことだ」と答えた。また、「資格をとっても役に立たなかったことは?」との問いには「特には無い」とのことであった。

 

 以上の質問の中で注目すべきは、何故対象者がヘアメイクという職業から美容師に転向しようと思ったのかということである。理由を尋ねたところ、「ヘアメイクで得られる収入だけでは暮らしていけないと思った」と答えた。上述したようにヘアメイクは資格を必要としない。高い技術さえあれば、それでも十分な収入を得ることが出来るが、すべての人間がそれだけで暮らしていけるわけではない。そこで対象者は美容師の資格を取ることで安定した職に就くことにしたのである。

 

5. 資格が与えた影響
 次に、これらの回答を受けて資格が対象者にどのような影響を与えたかについてあらためて分析していく。対象者はヘアメイクの専門学校を卒業したものの、その時点では資格を持っていなかった。卒業後、ヘアメイクだけでは満足な収入を得られなかったため美容師の資格を取得。資格を取得することで美容院に就職することが出来、加えて安定した収入を得ることが出来るようになった。つまり、美容師の国家資格が対象者に安定した職と収入をもたらしたのである。

  また、対象者は現在の職は自分に合っており、接客が好きだということから結果としてヘアメイクよりも美容師の資格を取って良かったともいっていた。

 

6. 考察
 今回の調査で強く感じたことは、職業資格が当人のキャリア形成を大きく左右するのではないかということである。特に、今回のようにその資格がないと業務に携わることが出来ない業務独占資格や、一定の事業所に資格保有者置く必要のある必置資格を取得することは当人の職業能力向上へも繋がり、その資格を保有することは有益なことであるはずだ。これは対象者に教えていただいたことだが、もし仮にヘアメイクの職を続けていたとしても、美容師の資格を持っていることは職務遂行上優位になるらしいとのことであった。

  社会的文脈による資格の類型に当てはめて考えてみると、今回の美容師という資格は医師や教員のように高い学歴はあまり必要としないものの、その資格における機能的価値は高い。その資格が限定された集団の中でしか機能していないものであるとしても、資格がもたらす有利性は大きいのではないだろうか。


おわりに

 資格試験頑張って下さい。